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『伊右衛門』のCMを手がけた博報堂の思考法とは?【博報堂デザインのブランディング】

博報堂デザインのブランディング: 思考のデザインとカタチのデザイン
スタートでどれだけ視野を広げてそのブランドに関する多くのことを知れるかが、ブランディングの成否を決める。


皆さんは伊右衛門のお茶のCMを見たことがあるでしょうか?


伊右衛門CM集

https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/green_tea/index.html

こちらのCMは今回紹介する『博報堂デザイン』さんが手がけました。

この日本を代表する和の世界観ストーリーは一体どのようにして作られていったのでしょうか?


詳細

タイトル:博報堂デザインのブランディング〜思考のデザインとカタチのデザイン〜
著者名:永井 一史(ながい かずふみ)
発売日:2015/10/8
ページ数:191p
出版社:誠文堂新光社
価格:定価 1,944円


著者 永井一史

(株)HAKUHODO DESIGN代表取締役社長。デザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクター。多摩美術大学教授。

1985年多摩美術大学美術学部卒業後、博報堂に入社。
2003年、デザインによるブランディングの会社HAKUHODO DESIGNを設立。様々な企業・商品のブランディングやVIデザイン、コミュニケーションデザイン、プロジェクトデザインを手掛けている。
2007年、社会的課題の解決に取り組む「+designプロジェクト」を主宰するなど、ソーシャル領域での活動も多い。
2008年、雑誌『広告』編集長(~2012年1月)。
2015年度グッドデザイン賞審査委員長。クリエイター・オブ・ザ・イヤー、ADC賞グランプリ、毎日デザイン賞など国内外受賞歴多数。多摩美術大学美術学部統合デザイン学科教授。

参考URL
永井一史 | プロフィール&代表作品 | 六本木未来会議
永井一史 - Wikipedia


簡単メモ

(概要や詳細はAmazonページより参照ください➡︎博報堂デザインのブランディング: 思考のデザインとカタチのデザイン

ブランディングに関して

ブランディング」とは?

短期的な視点ではなく、将来までずっと残るもの。未来の価値をデザインしていくこと

「 ブランド」とは?

企業や商品が持っている「らしさ」であり、独自性を持った価値。
それを磨き上げ、高めていくことによって、ブランドの名前を聞いた時、誰もが頭に思い浮かべる共通のイメージが作られていく。

他とは違う明確な個性があるからこそ、人に選ばれ、愛される存在になる。

adidas」、「Nike」、「puma」などのスポーツシューズブランドにも人によって感じる「らしさ」や「価値」は違うのではないでしょうか?



「ブランドの価値」とは?

見える部分

商品そのものや、機能や手触り、シンボンルマーク、売り場やサービスといったもの。それらはもちろんブランドを構成する要素としてとても重要である。

見えない部分(大事)

見える部分の背景にある「価値」がどれだけしっかりと見定められ、正確に規定できているかで、ブランドのすべてが決まるといっても過言ではない。ブランドの本質はここにある。

そして一番大切なものを著者たちは「思い」と呼んでいる。



「思い」とは?

ブランドの送り手が持つビジョン、魂、理念。こんなブランドでありたいという理想像、使う人に何をもたらしたいかという意思。

いうならば、何よりも根本的で本質的な、「その企業や商品が社会に存在する理由」

「思い」があるからこそ人は動く。共通の「思い」のもとで、ブランドに関わる人たちが、「思い」を実現するために行動する。
また、そんな「思い」に共感した世の中の人々が、ブランドのファンになっていく。


ブランディングとは、そのブランドだけ・・の「思い」を見つけ出し、それを具体的に目で見える「カタチ」にして世の中に届け、ブランドと人々との関係性を作っていく行為。



つまり、
ブランドに一番大切なものは「思い」で、ブランディングとは、「思い」を「カタチ」にすること。



ブランドは双方向の関係性

ブランディングでは常に顧客の存在を見る。顧客のものでもあるから。
「ブランドは送り手の意思と受け手の期待によって成り立つ」というのがブランドの一般的な定義。

だからいくら美味しいものを出したところで、そこで生まれる価値は受け手が求めているものかをしっかりと見極める必要がある。



デザイナーは「ニュートラルな立ち位置」に関係している。

送り手側の立場に身を置きながら、同時に受け手側の立場でも考える。それは個人個人の資質の問題ではなく、デザインという方法論の持つ構造的な特性だ。

例えば、まったく違う文化や言語体系をつなぎ合わせる「翻訳家」のような立場といえばわかりやすい。これはいわゆる顧客志向とは少し意味が違う。顧客志向はあくまで送り手側から受け手(お客さん)のことを考えるスタンス。このニュートラルな立ち位置が、ブランディングにおいてはとても重要になる。

デザイナーではない人もニュートラルな立場に身を置くことを意識的に行えるようになることはとても役に立つはず。

社会が複雑化し価値観も多様化している現代においては、企業とお客さんだけではなく、様々なファクターがブランドのあり方に関わってくる。



ブランディングのフェーズ

思考のデザイン

あらゆる情報をインプットする。
最初の時点で、どれだけ視野を広げてブランドに関する多くのことを知ることができるかが、ブランディングの成否を決める。

著者が意識している視点の持ち方として、5つの視点から立体的にブランドの全体像を掴んでいく方法がある。

 1、「歴史」
 2、「機能(なんの仕事をしている企業?どんな商品?)
 3、「文化(どんな豊かさやライフスタイルを提案できるかを考える(長く使い続けているブランドはなぜ?)、世の中の大きな潮流の中で考えていくことが重要。ブランドが担うべき文化的役割を検討していく。)
 4、「社会(ブランドがどう社会に役に立つか)
 5、「関係性(ブランドと生活者との関係性。)

上記4つそれぞれの視点から得られたインプットを、生活者側の立場に立って「関係性」の視点で読み解いてみるとまた新たな気づきがあるはず。



伊右衛門」の例

こちらの「伊右衛門」のCMは博報堂デザインとサントリーが共同で行いました。


伊右衛門CM集

特質すべきことは、クライアントであるサントリーと我々制作スタッフとの情報水位にズレがないこと

プロジェクトの立ち上がりから共同してきたことが積み重なり、一つ一つのアクションにおいて意見の違いは生まれても、ベースの価値観や哲学がぶれることはなかった。このことはロングセラーブランドとして成功してきた背景として大きな意味を持っている。


最初に行ったことは多くの人が共有できるようなブランドの世界観をビジュアルにすることだった。



沖田直人(サントリー執行役員、ブランド開発第一事業部長)×永井一史 対談

今はデザインの時代が来ている。なぜならビジュアルの方が説明力が高く、暗黙知を共有しやすいから。
動画もそうで、意味はもちろんのこと、温度や感覚まで含めて、人の心や頭の中に伝えることができる。

「ブランドは「人」と考える」

その人が、付き合いたいと思える人か、信頼できる魅力的な人かどうか。そして、何がその人を形成しているかが大切になってくる。例えば営業で来た人にも同じことが言える。

「リアルに、そしてシビアにマーケットを見ているか」

密にコミュニケーションを取る重要性。マーケット、生活者の動向を正確に捉えること、情報の精度を高めていくこと。
その情報の齟齬を起こさないために一緒に集まって議論するとか。基本を忠実に実行することの大切さ。実はそれが一番難しい。

アートディレクターの問題点

思考のデザインができていないアートディレクターが多い。やはりリアルな消費者が見えていない。つまり「商売」ってことを理解していない。

一般論だけど、一部の、特に若いアートディレクター達で一番よくないのは自分が見えてしまうこと。自分を表現したいというのが見える

「この商品のヘソの部分はここで、それと消費者のインサイトを結んだらこのアイデアになります」というのができない。それで、こちらに何か言われるとブスッとする。

お客様にとって、この商品は千円かなと思ったら実は800円でしたとなったら、得をした気分になる。もしくはお金のことを考えなくても欲しい、極論すれば、いくらかなんて関係なく、これが欲しいと思わせることが、究極のブランディング。それには商いがわかるアートディレクターの力がますます必要になってくる。